【完】純白の花に、口づけを。
熱っぽい、瞳に囚われて。
「和架のこと、大切に思ってる」
ずるい、な。
いつも、そんな答えばかりだ。
千花の指を自分の指に絡めると、淡い熱を指が共有して。
「和架…」
優しい声で俺を呼ぶ千花の顔の横の髪を少しだけ指で梳いてよけてから、手をつく。
近くなった距離に、千花は少しだけ瞳を揺らした。
「キス、する?」
「っ、からかわないで……」
「本気で聞いてる」
千花が、薄く唇を噛んだ。
血出るだろ、と唇を指でなぞると、千花の瞳には涙が溢れそうなほど溜まって。
「っ、苦しい」
「千花…」
「和架といたら、苦しいのっ」
その気持ちが、“恋”なんじゃないかと。
俺の苦しさと同じなんじゃないかと、自惚れそうになる。