【完】純白の花に、口づけを。
◎“不良”の中の立ち位置
「ん……」
──……朝、か。
ひさしぶりに、あの頃の夢を見た。
ひどく魘されてしまうから、あんまり見たくない。
やっぱり魘されていたのか、千花が来てくれたんだろう。
洗面器と、タオルが置かれていた。
中に入ってるのは水で、魘されたときにかく大量の汗をきっと拭いてくれてたんだろう。
……なんで、気づくんだよ。
その優しさに俺がどれだけ惑わされるのか、千花は知る由もなくて。
「着替えるか」
時計を見れば、まだ6時。
起きて、制服に着替えて。
部屋に備え付けの洗面所によって顔を洗ってから、部屋を出てリビングに向かう。
お世辞でもなんでもなく、家は広い。
俺と白魏が幼なじみだったなんて、未だに謎である。