【完】純白の花に、口づけを。
「1ヶ月……」
「姉ちゃんを止めないと、どうしようもないね」
“結婚するつもりらしいし”と付け足す瑞希。
「っ、」
婚約が公に、なれば。
千花が誰の味方についてるのかは分からないが、白魏にとって邪魔な俺は、千花の父親までを敵に回すことになる。
カレが。
千花の父親が。
俺がこの家に居候を始めたあの日から、帰ってきたことは一度もない。
……いや、ほんとはあるけど。
あるけど。
俺と瑞希が、いないとき。
カレにとって必要なのは、“後継者”である千花ただひとり。
千花に対するカレの態度は、優しいから。
でも家に置いてもらってて、学校に行く金だって出してくれてんのはあの人だから、俺は文句なんて言ってられねぇけど。