【完】純白の花に、口づけを。
◎黒とクロ
「おはよ」
ガラ、と先に瑞希が扉を開ける。
開けたと思えば、その瞬間に固まった。
「瑞希?」
「な、んで」
中を後ろから覗き込んで、“ああ”と納得する。
「瑞希くん」
「花……」
「えっ、と…お話が、あって……」
おどおどと答える彼女の制服を見て、あることに気づく。
「如月(キサラギ)学園?」
ブラウンのブレザーに、黒のプリーツスカート。
グリーンを主にしたネクタイに、薄い青のブラウス。
ブレザーの襟についた金のバッジには、見覚えがあった。