【完】純白の花に、口づけを。
「瑞希、花ちゃんのことあんまりイジめちゃダメよ?」
「わかってるから。ほらほら、行った行った。……あ、和架」
「ん?」
「……ううん、いいや。いってらっしゃい」
何かを言おうとした瑞希に首をかしげるけど、どうやら大した用事じゃなかったようだ。
「和架、行こう」と言った千花に続いて、玄関へと歩き出す。
今日は、10月3日。
パーティー前日。
そして、デート当日。
出来るだけの、準備はした。
千花と家を出て、手を差し出すと。
「つなぐの?」
「デートだろ?」
「っ、手繋いでデートなんて高校の時以来なんだけど……」
恥ずかしそうにそう言って、でも繋いでくれる千花の手をぎゅっと握り返す。
それだけで、愛おしさに頬が緩んだ。