【完】純白の花に、口づけを。
「そういえば、どこ行くのか聞いてないわよ。私」
「朝からショッピングモール。で、昼飯は適当に好きなとこで食って、昼からは水族館」
“前に行きたいって言ってただろ?”と言えば、千花はふわりと笑った。
「覚えててくれたの?」
「ん、覚えてる」
「ふふっ。嬉しい」
水族館は、あくまで時間稼ぎだ。
大事なのは、そのあと。
「水族館終わったら、ちょっとだけ行きたいとこあるんだけど良いか?」
これが、今日の一番大事なことだ。
「いいわよ。そんなに遅くならなかったら」
「ん。努力する」
『とりあえず、午前中はちゃんと楽しんでおいで』と言った亜希の言葉を思い出して。
とりあえず楽しむか、と千花の手を握る力を少しだけ強めた。