【完】純白の花に、口づけを。
「なぁに?そんなにジッと見つめてきて」
「いや?なんでもねーよ」
「ふふ。やめてね?恥ずかしいから」
「絶対思ってないな」
「思ってるわよ」
むう、と頬を膨らませるその姿も愛らしい。
「これでも結構緊張してるのよ。和架と出かけるなんてひさしぶりだし、“デート”なんて言われたら……」
「いつもと違う甘い匂いしたな。なんかつけてる?」
「あ、ええと…香水つけてる」
「そんなに楽しみにしてた?“デート”」
ずっと一緒にいたから、知ってる。
千花が香水をつけるのは、相当張り切ってるときとか。
つけてきてくれたってことは、楽しみにしてたんじゃないだろうか。