【完】純白の花に、口づけを。
「美味しかったわ。本当によかったの?和架。お昼代ぐらい払ったのに」
「払わせねーよ。ん、水族館行こう」
「…うん。わかった」
手を差し出せば、指を絡めて握ってくれる。
その手をぎゅっと握り返して、水族館へと向かう。
「和架」
「ん?」
「ううん。幸せだなぁって」
「俺も幸せだけどな」
「ふふっ」
あまりにも千花が、綺麗で。
可愛くて、見惚れてしまいそうになる。
「和架、ぼーっとしてるけど大丈夫?」
「ん?あぁ、大丈夫」
「他の子のこと、考えてた?」
「んなわけないだろ」
千花のことしか考えてねーよ。
そんな俺の思考なんて完全に読み切ってるのか、千花は「ふふ、ムキにならなくても」と笑う。