【完】純白の花に、口づけを。
水族館に入って、さっさとチケットを買って。
「ふふ、綺麗」
「気に入った?」
「うん。ありがとう、連れてきてくれて」
「どういたしまして」
水族館の中は薄暗いし、そこまで視線を感じることもない。
ゆっくり落ち着いて回れる。
「和架、私ばっかりいい思してるけど…いいの?」
「ん。千花がそう思ってるならそれでいい」
「…お祝いするべきなのは、和架なのに」
ポツリとつぶやかれたその言葉に、首をかしげる。
「あら?気づいてなかったの?」
「?」
「今日、和架の誕生日でしょう?」
誕…生日……?
「……あ」
「もしかして、本当に忘れてた?」