【完】純白の花に、口づけを。



「忘れてた。頭になかった」



「あら。まぁ、そうよね。和架にとって誕生日は……、」



そこで千花が言葉を切った。



言いたいことは、なんとなくわかる。



誕生日の日、俺は親を亡くした。



だから気をつかってるんだろう。



俺はもう、十分幸せなのに。




「千花」



「なぁに?」



「俺の誕生日にデートしてくれるだけで、俺にとったら最高の誕生日だから」



「嬉しい、そう言ってくれて。でも、ちゃんとプレゼント用意してあるから帰ったら渡すわね」



「ありがとう」



千花は優しく微笑んだ。



俺の首元で羽のネックレスが揺れるのは、今も変わらない。



「それじゃあ、行きましょう」



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