【完】純白の花に、口づけを。
◎恋に溺れて
「綺麗だったわね」
そう言って微笑む千花は、いつもより楽しそうで。
ここまでなんとか上手くいってることに内心ホッとしながら。
水族館を出たすぐ横の、川沿いで。
「千花、話していい?」
絡めた手を離して、後ろから千花を抱きしめた。
「和架?」
「このままでジッとしてて」
川沿いにはカップルがちらほらいるけど、どのカップルも自分たちの世界で、俺らを気にしてる人なんていない。
「……うん」
今、すげー心臓の音早いから。
千花に聞こえてんだろうな、なんて思いながら口を開く。
──これが俺の、最後の“賭け”だ。