【完】純白の花に、口づけを。



受け取ったら、返事は“YES”だ。



受け取れないなら、今すぐ捨てる。



この賭けに挑むって、決めてたのは。



……千花の手に、指輪がなかったから。



婚約するなら指輪ぐらい…いや、まだ渡してねーのかもしれねぇけど。



実は渡してもらってるけど、遠慮してつけてねーのかもしれねぇけど。




「っ……」



千花の瞳に、じわりと涙が滲んで。



それは溢れそうなほどに溜まって。



「ず、るい。本当に」



「ずるいのは、千花の方だろ」



「ハルも、巻き込んだの?」



予想外の質問に、首をかしげる。



「ハルさん……?」



「あれ、違うの?タイミングがあまりにも良すぎるから、仕組んだのかと思ったのに」



涙混じりの声で、そう言った千花は。



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