【完】純白の花に、口づけを。
「ない。絶対ない。行くよ花」
「わっ、待ってよ瑞希」
「転ばないでね」
「転ばない、わぁっ」
「っ、言ったばっかじゃん。ったく、危ないでしょ」
「……ごめんね」
「いいけど…ほら、行くよ」
「はーい」
差し出された瑞希の手を取る花を見て、千花はふふっと笑った。
「幸せそうね」
「俺らもな」
「ふふ。そろそろかしら?緊張するわ」
「ふっ。大丈夫だよ」
軽く一瞬、触れるだけのキスをして。
「それじゃあ」
呼び出しがかかったのを聞いて、依千花に手を振る。