【完】純白の花に、口づけを。
「面白いわ、佐久間くん。でも、タイムリミットみたいね」
「え?」
叶恵さんが、「こっちこっち~」と誰かを手招きする。
それを見て、「え、誰あの人」と言ってしまったのは仕方ない。
何あのイケメン。
え、誰マジで。
他の女性社員も釘付けになってんだけど。
彼は視線を気にすることなく歩いてくると、「こんばんは叶恵さん」と一言。
俺より若い、よな?
「やっほー和架くん。依千花さー、飲み比べして酔っちゃったんだよね」
「……叶恵さんが酔わせたんっすか」
「それは違うけど。でもまぁ、酔うまで気づかなくてごめんね。断じて、依千花の身には何もなかったから!」
彼は、「はぁ」とため息をついて。
「依千花」
眠る彼女をグラグラと揺すった。
つかさ、今“依千花”って言わなかった?
言ったやんな!(突然の関西弁)