【完】純白の花に、口づけを。



「ああ、そういうことか。和架、依千花借りてくな」



「待てよ」



すっと立ち上がって扉を開ければ、依千花は思いっきり顔を隠していた。



「おー、丸聞こえだな。お前さ、依千花のことイジめすぎんなよ」



「うるせーよ。依千花」



「ううっ、はい」



「………」



「え、なんで黙るの」



「晩飯の約束すっぽかすなよ」



「っ!ちょ、どうしろっていうのよ…っ!」



その後、結局俺と依千花がふたりで晩飯行けるわけもなく。



叶恵さんに、「今度夜景の見えるホテル紹介してあげる~」と丸め込まれた俺が。



大人で飲むから、とその日お預けをくらったのは言うまでもない。



-End-



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