【完】純白の花に、口づけを。



「依千花さんに?」



「まぁな」



机に広げられていた書類らしきものを、千花がまとめて鬼センに渡した。



「ごめんなさい、バタバタしてて。ハルも忙しいでしょ」



「別に気にすんなよ。依千花にも事情はあるだろ」



「…うん、ありがと」



鬼センが、千花にだけ聞こえるよう耳元で何かを囁いた。




チッ。



……イライラする。



「わかった。じゃあ」



「ん。じゃーな」



お前らも、と鬼センは帰っていく。



どうしても、鬼センだけは嫌いだ。



頼むから、千花を取らないで欲しい。



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