【完】純白の花に、口づけを。



「俺のせいで」



「うん」



「ハルさんと、別れることになっただろ」



本当は、アイツの名前だって知ってた。



「違うわよ、和架」




───俺が白魏に来たとき、千花はハルさんと付き合っていた。



ふたりは、同級生で。



付き合ってて、でも俺は弱かったから。



千花を取られたらどうしようもなかったから。



『ずっと傍にいてほしい』



『俺だけの傍に』



『守るって、約束しただろ』



そう言ったら、絶対千花は俺を選ぶことわかってた。



だから、甘えて。



……そう言ったことで、本当にふたりは別れてしまった。



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