【完】純白の花に、口づけを。
◎俺が白魏に来たワケ
俺が白魏に来たのは、小5のとき。
「和架ー、千花ちゃん来てくれたわよー」
階下から聞こえたその声に、部屋を出て階段を駆け下りる。
「落ちないでね、焦らなくていいから」
優しいその声の持ち主に、ぎゅっと抱きつく。
……と、言っても千花なのだけれど。
「ふふ、待ってた?それとも、勉強教えて欲しいところあった?」
もちろん、前者。
照れくさいわけでもないし、意地を張ったわけでもないけど、「千花が昨日プレゼントくれるって言ってたから」と答える。
──あれ、これって俺欲張りみたいじゃね?
そう思ったけど、千花はくすくすと笑っただけだった。