【完】純白の花に、口づけを。
「そろそろ戻らないとダメよね」
「着替えてく」
「うん、わかってる。無理しないで」
無理しないで、なんて。
言わないで。
そんなこと言われたら、俺が言いたくなってしまうから。
「…千花」
「うん?」
体を離して、千花に小さく問う。
「千花が、もし決めるなら」
「うん」
「──千花の一番は、誰?」
答えなんて聞かなくても、分かっていたはずなのに。
無駄に期待して悲しむだけなのに。
俺はこの時、なぜか千花に尋ねた。
…──