【完】純白の花に、口づけを。
◎傍にいて
「じゃあ……和架の親は亡くなってて。瑞希と和架は、依千花さんに育てられたってこと?」
「そ。だから、姉貴だけど和架からすれば母親みたいなもん」
カチカチと、時計の秒針さえうるさく聞こえてしまう。
木霊(コダマ)するのは、さっきまでの千花の言葉で。
「──か。和架」
「……悪い。どうした?」
「いや、体調悪そうだから。しんどいなら、無理せずに寝てくれていいよ」
亜希のその言葉は嬉しいが、今は正直精神的なものだ。
ひとりになったら、思いつめて苦しくなるだけだろう。
それならこっちで気を紛らわせる方がマシだと思うから、このままでいい。