【完】純白の花に、口づけを。
「そうね。お誕生日おめでとう」
千花の手が優しく俺の首元に触れて。
「冷た…」
「鏡、見て?」
冷たい感触に一瞬顔を歪めながらも、玄関に置かれたその鏡に自分の姿をうつす。
「──…ネックレス?」
首元から下がっていたのは、銀色の羽をかたどったネックレスだった。
「大人びてても、ませててもいいと思うわよ。和架は和架だから」
“大人びてる”
“ませてる”
散々言われてきたし、そう言われるのは好きじゃなかった。
俺が大人びてるからって、何があるんだよ。
お前らには関係ないって、そう感じたけど。
やっぱり千花に言われたら、そうは感じない。