【完】純白の花に、口づけを。
「依千花さんも、大変ですね」
そう言った亜希の瞳が影を帯びて、無意識に息をひそめた。
「……そろそろ、俺は花のとこ行ってくる」
「あら、もう行くの?瑞希」
「今日から花も夏休みだから」
「そう。また花ちゃん家にも連れてきてね」
「やだよ。花、家来たら姉貴にベッタリだし」
「いいじゃない。女の私にまで妬いてたら、何も出来なくなるわよ」
「うるさい。行ってくるから」
瑞希が部屋を出ていって、千花は呆れたようにため息をついた。
「ほんと、花ちゃん大好きね」
そう言った千花のスマホに着信が入って、「ごめんね」と千花もリビングを出ていく。
「和架、珍しいな~。べったりなんて」