【完】純白の花に、口づけを。
千花が言う通り結婚したら。
「落ち着いて眠れそう?」
「……ん」
まぶたを閉じる。
千花の背中に回した腕に、力を込めて。
「おやすみ」
いつか、この距離さえなくなってしまうんだろうか。
千花の一番は、他のヤツのポジションで。
もうこうやって近くで眠ることさえできなくなる。
そうしたらきっと俺は、また眠れなくなるんだろう。
そしていつか、壊れてしまう。
そう考えたら眠れるわけなんてなくて、でもずっとまぶたを閉じていた。
「寝ちゃったわね……」
千花の小さなつぶやきが聞こえて、優しい手つきが俺の頭を撫でる。
「大好きよ、和架」
俺も、なんて言えなくて。