【完】純白の花に、口づけを。
「そうだけど……いや、でもさ、今別れてたじゃん」
「知らない人と結婚するより、ハルと結婚した方がいいでしょう?」
「そうかもしれないけど……」
「和架の様子、見てくるわ。出てこないと思うけど」
そう言って依千花さんは、リビングを出ていった。
しばらく彼女は戻って来なくて、次に戻ってきたとき、やっぱり和架はいなかった。
「相当なショックだったのね、きっと。あの子、私しか頼れないから」
「確かにそうだけど、和架がショック受けてるのは……っ、」
瑞希が口を噤む。
だけど彼女は、それを口に出してみせた。
「和架が私のこと好きだからでしょう?知ってるわよ」