【完】純白の花に、口づけを。



「は……?」



「何年あの子のこと育ててると思ってるの。知ってたわよ」



知ってて、和架がショック受けるのわかってて、彼女は結婚のふた文字を口に出した。



「依千花さんは、和架のことどう思ってるんですか?」



尋ねた俺に、彼女はふっと口角を上げた。




「──千花」



彼女が口を開く寸前、きこえるはずのない声がして、全員がそっちに視線を向けた。



「和架……」



1週間ぶりの和架は、特に変わった様子はなかったけど、やっぱり疲れてるみたいだ。



和架は彼女にだけ、視線を向けていて。



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