【完】純白の花に、口づけを。
「──おめでとう、千花」
ただそれだけを、口に出した。
「和架……」
「俺はなんも言わねぇよ。千花のことだし、千花に育ててもらっといて文句は言えねぇからな」
「──……ありがとう、和架」
そう言った依千花さんの瞳には涙が浮かんでいて。
でも。
それが嬉し涙だったのか、悲し涙だったのか。
それは誰にもわからない。
だけどひとつだけ、思った。
ふたりがたとえ、両想いだったとしても。
「俺のことは、気にせずに千花がやりたいようにやればいいよ」
──どれだけ想い合ってても、きっと結ばれないんだろう。
そんな気がした。