【完】純白の花に、口づけを。
◎きっといつかは
きっといつかは、こうなるってわかってた。
千花へのおめでとうだって、何日も悩んでようやく口に出せた言葉だった。
「あ、和架…!」
亜希が踵を返した俺を追いかけてくる。
他の奴らだって来るって、直感でわかっていた。
わかってたから、部屋まで無言で歩き続けて、「入るなら入れよ」部屋に入れることにした。
廊下で口を開けば、余計な想いさえ口に出してしまいそうだったから。
自分の中の黒い感情も、溢れてしまっていただろうから。
「……よかったの、アレで」
「瑞希は納得してないのか」
「納得とかじゃなくて……。まぁ、和架は俺に一番近い立ち位置にいるし。姉貴のことずっと見てたじゃん」
「ハルさんも、同じだろ」
俺が千花への想いを自覚する前から、あの人は千花を想ってた。
そして千花に想われてた。