魔女の瞳
『魔女狩り』というのを知っているだろうか。

15世紀から18世紀の間、全ヨーロッパで最大4万人が犠牲になったと言われる魔術行為に対する追及と、裁判から刑罰にいたる一連の行為の事。

といっても、その行為は正当性が必ずしもあるものではなかった。

一度魔女の疑いをかけられた者は、酷い尋問や拷問をかけられ、自らが魔女である事を認めるまで許される事はなかったし、仮に認めたところで魔女は人間に災いをもたらす者として生かしておいてはもらえない。

例外もあるにはあったものの、大抵の者は一度魔女の疑いをかけられたら最後、死ぬしかなかった。

大体にしてふざけている。

魔女の疑いをかけられる者というのは、殆どが郊外に暮らす、身寄りや友人のない、老婆や力のない若い娘だったというのだから。

『逆らえない者』、『反抗できない者』が魔女としてでっち上げられたという例もたくさんあった。

その上、魔女を尋問、白状させるのを生業とする者も多く、そいつらは真偽の程はともかく、『魔女と認めさせる事』で生計を立てていた。

何せ、『病気になるのは悪魔がとり憑いたから』なんて迷信がまことしやかに囁かれていた時代だ。

魔女の嫌疑をかけられて処刑されるというのも、さして不思議な事ではなかった。

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