魔女の瞳
修内太の体を抱き起こす。

…酷い傷だった。

完全に左目は駄目になっている。

あまりの傷の痛みで気を失っているらしいが、それでも苦しげにうめき声を上げる。

「どうしよう…」

いや、どうしようじゃない。

治癒の魔術は得意じゃないけど、やるだけやるしかない。

私は修内太の左目の傷に手をかざし、まずは傷の状況を確かめた。

…彼の左目は、もう使い物になりそうにない。

治癒した所で傷が塞がるだけで、もう二度と見えるようにはならないだろう。

後悔の念に押し潰されそうになる。

人間なんてどうなってもいい。

けど彼は、私の失策で傷ついた。

このまま失明なんて私のプライドが許さない。

なら…。

「私の片っぽあげるわ」

私は右手を自分の左目に、左手を修内太の傷口に当てる。

そして魔力を注ぎ込んだ。

…私には『再生』の魔術が施されている。

時間が経てばまた失った目は再生する。

もっとも、再生した左目の方は呪眼ではなくなってしまうけど。

問題は修内太の方。

一般人である彼が、私の呪眼を移植されて拒否反応が起こらないかどうか…。

でも彼には一般人よりも少し多めの魔力が内在している。

それに賭けてみるしかない。

「絶対助けてあげるからね…」

額に汗を浮かべて、私は修内太の傷の治癒を続けた。

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