魔女の瞳
そんなある日の事。

私はエリスに留守を任せ、街へと出かけていた。

何の事はない、ただの買い物だったのだが、その際に出会った男というのが少し変わり者というか面白い男で、つい遅くまで話し込んでしまった。

医者でもあり、自ら『錬金術師』とも名乗るこの人物は、この時代の人間にしては珍しく魔道に対して理解があり、むしろそれを様々な分野に利用できないものかと考える人物だった。

面白かったのでつい、私はデッドゲイト家に伝わるある秘術の話をしてしまったりして。

もちろん私が魔女だという事は伏せておいたが。

ともかく久々に楽しめた私は気分よく家路につき。

「……!」

家から漂うピリピリした痺れるような魔力に気付いた。

この感じ…すぐにわかった。

「あの子ったら…あれ程言ったのに!」

明らかに暴発寸前の魔力。

魔術のコントロールに失敗したエリスが、魔力を暴走させているのは疑いようもなかった。
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