魔女の瞳

現実

「ん…あれ…」

いつの間にか眠っていたらしい。

あれから修内太の左目を治癒して、彼を私の家まで連れ帰って…。

如何に魔女とはいえ、男の子を背負って帰るほどの力持ちじゃない。

『強化』の魔術で筋力を強化して、修内太を連れて帰った。

で、久し振りに魔力を派手に使って少し疲れたのだろう。

修内太をベッドに寝かせた後、私もソファに横になって眠ってしまったという訳だ。

ベッドの方を見ると、修内太はまだ眠っている。

無理もない、あの傷だ。

回復させようと肉体が睡眠を欲するのは当然の事だった。

…彼が目を覚ましたら、少し栄養を摂らせなければならない。

私はキッチンに向かい、簡単な料理を作っておく事にした。

病み上がりだから、リゾットなんていいかもね。

確か薬草が幾らか残っていた筈。

隠し味に刻んで入れよう。

こう見えても料理は得意なのだ。

昔はエリスがいた頃は、殆ど任せきりにしていたけど。

…キッチンにいい香りが漂い始める頃。

「ん…あれ?ここどこだ!?」

隣の部屋で騒がしい声が聞こえた。

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