魔女の瞳
再生なんて高度な魔術を施しているのは、魔道の家系でもデッドゲイト家の魔女くらいのものだろう。

それだけ高い魔力と高度な術式体系を持っている証拠。

デッドゲイト家は、魔道の世界ではエリート中のエリートなのである。

しかし。

そんなエリートにもかかわらず、どうして魔女狩りなどにまんまと捕まり、二度も三度も処刑をされる必要があるのか。

死なないだけで、私だって苦痛は伴うのだ。

…実はデッドゲイト家に生まれた者は、誕生と同時にある魔術をかけられる。

『限定』の魔術。

ある決まりを破った場合に限り効果を発揮する魔術だ。

デッドゲイト家の者には一つだけ決まりがある。

人間を傷つけない事。

魔女として高い魔力を持つ私達だが、その力はあくまで『魔道の探求』の為に得たものだ。

無闇に殺傷するためのものではない。

そういう事情で、魔術を行使しての人間の殺傷はご法度とされている。

もし破った場合…『人間にかすり傷一つも負わせられない』『ある島国に流され、そこから一生出られない』という限定がかかるのだそうだ。

その限定を破ると死なない程度の激痛が全身を走り続けるのだとか。

生き地獄である。

そんな訳で私は、本来ならたやすく捻ってやれる筈の人間相手に処刑されてやったりするのである。

< 5 / 74 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop