魔女の瞳
「割に合わないわよねえ」

そんな事を言いながら、針葉樹の森の中を一人歩く。

池に沈められて服はびしょびしょだ。

さっさと家に帰って着替えよう。

考えながら歩いている時だった。

…私は悲鳴に気づいた。

悲鳴だけじゃない。

数人の男の声。

何やら言い争っている風だ。

特に警戒する事もなく、私は足元の雪をザクザクと踏みしめて声の方に歩いていった。

だって、何が起きているか見当がついたから。

…そして、そこで起きているのは私の予想通りの出来事だった。

大の男が数人がかりで、まだ15にも満たない少女を囲んでいる光景。

「おら、黙って従いな」

「魔女裁判に引きずり出されるよりは、ここで俺達の相手をする方がいいだろ?」

年端もいかない女の子に対して、そんな脅し文句で言い寄っている。

やれやれね…。

魔女なんかより、こんな下衆な男どもを処刑する方がずっと世の中の為になると思うけど。

「やめなさい」

私は呆れたように男達に声をかけた。
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