魔女の瞳

現実

…目覚まし時計の耳障りなベルの音。

私は強引に夢から現実に引き戻された。

「ん…」

ベッドの上から手を伸ばし、目覚まし時計を止める。

…なんとも昔の夢を見たものだ。

あの頃の夢なんていつ振りだろう。

まぁ、大して見たくもなかったけど。

昨夜寝る前に書庫の中から古い魔術書なんて持ち出して読みふけったのがまずかったんだろうか。

昔はよく読んでたからなぁ、あれ。

何にしてもそろそろ起きて支度をしないと遅刻してしまう。

二度寝の誘惑を何とか断ち切り、私は洗面所で洗顔を済ませる。

朝食は食べない主義なので軽く紅茶一杯のみ。

その後、紺のブレザーとチェックのミニスカートに着替え、ブラウスの胸元をキュッとリボンで引き締めた。

これで出発準備完了。

今日は初日だし、印象をよくしておかなければならない。

その為にも身だしなみは重要だ。

姿見の前で全身をチェックする。

特に問題なさそうだ。

「…さてと…行くか」

私は溜息をついて、もう何百回めかもわからない、転校先の高校へと向かった。

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