愛した君へのラブレター。
『ちょっと話がある…』

貴方は、急に私を公園に呼び出し、暗い表情で話し出した。

『…友達に戻してほしい』

急に呼び出されたから、少し覚悟はできてたけど…

『なんで?』

理由を聞くことしかできなかった。

『なかなか会えないし、さららに対する恋愛の感情もなくなってしまった。』

頭が真っ白になった。

何と言えばいいのか、言葉が出てこなかった。 涙も出なかった。

貴方はつづける。

『俺好…な人…るし…』

小さい声でボソッと言った。

しばらく沈黙が続いた。

『そうか…。』

貴方は私を見続けていた。

『私は嫌だけど…呉本がそう思うんやったら仕方ないよね…』

私は楽しかった今までの思い出、最近まで仲良くしてたことを思い出した。

私が水族館で告った時からの1年半。
フィルムを巻き戻すように貴方との思い出が頭から溢れだした。

貴方に背を向けて、私は泣いた。
涙が1つこぼれると、続いてたくさんの涙が溢れだした。

必死で言葉を探す。

『色々迷惑かけて、ごめんね…』

やっと出てきた言葉。 本当はもっとちゃんと気持ちを伝えたかった…

また涙が溢れてきて、沈黙が続いた。

貴方も鼻をすすっていた。演技だと思った。
嫌いになったのなら、いっそ早くこの場から離れたらいいのにって思った。

沈黙を破りたくて、この場から逃げ出したくて。
でも一番伝えなきゃいけないことを何とか口にした。

『今までありがとう…』

口に出すと、また思いがこみ上げてきた。
声を出して涙を流した。

『…こちらこそ。』

私は泣きながら自転車の方向へ歩き出した。 振り向かなかった。

空は雲1つない、澄みきった夕焼けだった。

自転車をこぐ気力も無くなり、自転車を押して歩いて帰った。

家に帰って、思い返してみる。

貴方と初めて恋人繋ぎをしたのはたった1週間前。

これからどこまで仲良くできるかなぁって、期待を膨らませていた。

でも、休日を挟んで、貴方はポケットから1回も手を出さないようになった。

私はがんばって手を繋いでもらえるように、寒いけど手を出してたのに。

さらに、毎朝約束の時間を守らなくなった。

火曜日に勉強会に行ったとき、遅れて行った私は貴方に手を振った。

けど貴方はチラッと私を見ただけで、すぐ携帯でメールをし始めた。

千嘉の携帯で、ずっと木元さんとメールしてた。

まるで私がいないかのように。メールに集中して、
私に話しかけてくれなかった。
千嘉が帰るギリギリまでメールしてた。

その時にはもう私なんてどうでも良かったんだね。
貴方の目には木元さんしか映ってなかった。

あれから、毎日約束に遅刻。木元さんの話をよくしてた。楽しそうに。

『メールめっちゃ楽しい』

貴方はそう言ってた。
いつも木元さんとメールしてると千嘉から聞きました。

私にはメールくれないもんね。
『木元さんと』のメールが楽しいんだよね。
私なんかいらなかったもんね。 邪魔だったんだよね。

もともと貴方が私の事好きだなんて思ってなかった。
無理してる事は分かってたつもりだっ た。

いつでも振られる覚悟はできてた。

けど…

貴方の瞳の奥に別の女子の影がある。

それも、私の友達。

木元さんだったら、会いたいときに会えるね。
毎日何時間も一緒にいれるね。 話してると面白いもんね。

全く私の真逆。

邪魔してごめんね。 私なんか早く退散しとけば良かったんだね。

でも私は1年半の積み上げてきた『恋愛の感情』を、今すぐ忘れて捨てることはできない。

諦めきれない。

ひそかに貴方が考え直してくれる事を願ってる。

でも、あの時の貴方の真剣な眼差しは、それを許してくれそうもない。

私は、貴方の隣から消えます。

今までいっぱい迷惑かけたけど、その代わりにたくさんの喜びを与えてくれてありがとう。

さようなら。
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