retaliation ~天の邪鬼な絆~
「ウルセんだけど。」

校門を気だるそうに入ってきた生徒だった。直哉が自分とは絶対合わないと感じた人物でる。

「高等部2年3組東雲隼人だ。で君が…。」

「同じクラスの水柿です。」

「そう、水柿くん。東雲、お前仲間が出来るぞ。」

勝手に決めるなと直哉は内心腹が立っていた。直哉はこんな輩が大嫌いだった。反抗が青春とかチャラついた考えを持つ奴は体が拒否反応を示す。デメリットでしかないことをする神経がわからない。

「よろしく。水柿直哉…」

「自己紹介なんていいよ。友達になるきないし。」

そう言うとさっさと立ち上がり荷物片手に出ていってしまった。

何だ、あいつ!一匹狼でも気取ってんのか。はらわたが煮えくり返る気がした。

「すまんな。ああいうこと言うがお前と気が合うと思うんだがな。」

「…いえ。」

言葉が直ぐには出なかった。腹立ちを外に出さないように必死だったからだ。

「あの、ありがとうございました。僕、教室に戻ります。」

一礼し直哉は、保健室を去ろうとした。すると男があっと声をあげた。

「名前、伝えてなかった。私は、一ノ瀬真赭だ。6月に育児休暇を取った田中先生の代わりに赴任してきた。あとお前らいい仲間になれるよ。確信した。」

そう言うと一ノ瀬は、ニコッと手を振って直哉を見送った。

< 5 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop