retaliation ~天の邪鬼な絆~

期末テスト週間は、直ぐにやってきた。一夜漬けをした奴、余裕を持って勉強してきた奴、もう諦めている奴と教室内は多種多様だった。もちろん直哉は、範囲分いやそれ以外も綺麗に頭に入っていた。

「なあ、勉強してきた？」

「全然だよ。」

はい、でました。テストあるある。『無意味な確認』。直哉は、机に突っ伏したまま横の席の奴等の話しを流し聞いていた。テスト開始前の数十分に交わされるこの会話。なんの意味があるのか直哉には全く意味が分からなかった。どうせ双方、分かっているだろうに、勉強していることぐらい。

キーンコーンカーンコーン…

時間になりチャイムがなる。先生の開始の声が響いた。

一日目が終了である。いつもの様に帰路についた。直哉にとって学校のテストは復習だった。皆が、赤点をとらないよう必死な姿が直哉は不思議であった。ならば何故、皆は勉強しないのだろう。何もせずにただで100点をとろうとする。出来なかったら自分の頭の悪さを悲観する。そして出来の良い者を羨ましがるのだ。直哉にとって「頭、良いね！」の誉め言葉はからかわれている気がして不快感さえ覚えるのだった。

ただいま…。

声が木霊した。母は、いなかった。少しありがたかった。キッチンにあるダイニングテーブルの上に一枚の紙があった。

直くんへ
　お買い物に行って来ます。冷蔵庫におやつがあります。食べてね。
　　　　　　　　　　　　　　母

「何歳だと思ってんだよ。」直哉は、階段を登って自室へと入って行った。