花の名は、ダリア
案の定、アウトローがウジャウジャ湧く路地を抜けると、ソコは大通り。
まだ宵の口だからか、酔っ払いや客引き、商売女もウジャウジャ湧いてやがる。
「ソージ、ソージ、ドコに行くの?
そんなに引っ張ると、手が痛いわ。」
背後から、コドモのような呼び掛け。
肩越しにチラリと振り返れば、迷子のように不安げな顔をしたダリア。
あまり高低差がないトコロで視線が絡む。
俺と彼女は、10㎝くらいしか身長が変わらない。
俺はそうデカいほうじゃないし、彼女はスラリと背が高いから。
全く…
そーゆートコロも、腹が立ってしょうがない。
コドモ脳のクセに、身体ばっか成長しやがって。
「痛くしてるンです。」
俺はさらにギュウギュウ手を握り、ダリアを睨みつけた。
彼女の肩がビクリと竦む。
その困り眉、まじで叱られたコドモじゃねェかよ。
あー、可愛い。
あー、腹立つ。
「今後は、その行き当たりバッタリで危なっかしい、刹那的な生き方は禁止です。
気が向いたら誰とでもヤるのは、もっとダメ。」