花の名は、ダリア
イーストエンドは、ロンドンで最も貧しい地域だ。
汚水を垂れ流された川が腐り、空気が腐り、疫病が蔓延して人々も腐っていく。
ココはそんな街。
「本当にこの街に泊まるつもりですか?
売春宿しかなさそうですけど。」
アチコチにたむろし、誰彼構わず手招きしている娼婦たちを横目に、ソージは心配そうに言った。
けれどダリアは対照的に、自信アリげに口角を上げる。
「ソレがいいのよ。
今回は私、娼婦に変装しようと思うの。」
「…
『忍びの者ござる』のノリで?」
「『忍びの者ござる』のノリで。」
…
あーあ。
ヤな予感、的中かよ。
あり得ねェよ。
ソレ、男に買われるってコトだよ?
血ィ吸って眠らせて、寸止めってパターンになるにしたって、それまでの過程で男とイチャイチャすンだよ?
絶対ェねェよ。
そりゃ、寄せて上げたオッパイがこぼれ落ちそうなドレス着たダリアとか、是非とも見てみたいケド…
いやいや。
やっぱねェよ。