花の名は、ダリア
ステッキを持った紳士スタイルのソージが、眉根を寄せて腕を組む。
「却下します。
貴方にそんな真似はさせられません。」
襟の詰まったシンプルな淑女ドレスのダリアも、さらに自信アリげに腕を組む。
「うふふ。
そう言うだろうと思ってたわ。
だから…」
『だから』ナンダ?
もう、ヤな予感しかしねェよ。
「だから、ソージも娼婦に変装して、セット売りするの!
そうすれば一緒にいられるから、安心でしょう?」
…
はぁぁぁぁぁ!!??
的中だケド、予想の遥かナナメ上ぇぇぇ!!??
「お断りします。」
「どうして?
絶対に男だなんてバレないわ。
ソージ、とっても可愛い顔してるもの。
あ、でも、ヒールは厳禁よ。」
「お断りします!
てか、全く嬉しくねェェェェェ!!」
心からの絶叫ですよ。
ダリアの肩がビクリと揺れる。
道行く人々も振り返る。
おっと。
あんまり目立つとよくねェな。
それでなくても、ロンドンじゃ平均的なこの格好は、ココでは人目を引くようだ。