花の名は、ダリア
ドンっ
「ぉわっ!?」
「きゃっ!?」
「あらら、大変。」
ハイ、ジャマされた。
ダリアに触れる寸前、ソージは衝撃を感じてよろけた。
ソージに衝撃を与えたナニカは、自分からぶつかったにも関わらずに吹っ飛んだ。
吹っ飛んで転がったナニカを見て、ダリアはあまり大変そうではない声を上げた。
もう…
いったいナンナノ?
愛しのエクボまで、後数㎝だったのに。
霧で湿った石畳の道に尻モチをつき、イタタ…なんて小さく呟くナニカを、ソージは冷ややかに見下ろした。
チビっこい女だ。
汚れが目立ちにくいスプルースグリーンの粗末なドレスを着ている。
手で尻を撫でているものの、たいしたケガではなさそうだ。
ハイ、確認終了サヨーナラ。
「ダリア、行きましょう。」
ソージはダリアの腰に手を回して…
あれ?空振った?
ナンデ?
「アナタ、大丈夫?」
ソージの腕を華麗にすり抜けたダリアは、転んだ女に手を差し伸べていた。