花の名は、ダリア

所詮は女の力。

男のソレとは比べ物にならない。

クララの必死の抵抗を嘲笑うように、男が顔を近づけた。


「ケビンの前はダグラスだっけか?
その前は…忘れちまったが。
オメェと仲良くなると、みんな辞めてっちまうよなぁぁ?」


「私のせいだって言うンですか!?
元々そういう職場だし、他にもたくさん辞めてるじゃないですか!」


「正直に言えよ。
アイツらをその身体で骨抜きにしたンだろ?」


「言いがかりはよして!」


「気取ってンなって。
こんなトコで働いてンのも、男漁りが目的なンだろ?
なぁ、俺にもヤらせろよ。」


男が卑猥な仕草で腰を突き出すと、回りのモブたちも下卑た野次を飛ばす。

俺も頼むよ
天国見せてやるからさ
いっそ皆で楽しもうゼ…

唇を噛んで耐えていたクララだったが…
とうとう眉を吊り上げ、顎を掴む男の顔に唾を吐きかけた。

男は慌ててクララから身を離し、手の甲で頬を拭う。


「この売女がっ!
優しくしてりゃつけあがり」


「ぷ… ぷククっ
唾でよかったンじゃねェの?」


顔を赤くした男の怒声を、不意に聞こえた笑い声が遮った。

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