花の名は、ダリア
男たちが…いや、クララまでもが、驚いたように笑い声の主を見る。
ソージだ。
ついさっきまで、誰もがその存在を忘れていたソージが、心底可笑しそうに片手で口を覆って笑っていた。
「そんなに近づかれちゃ、俺ならゲロ吐くね。
吐き散らかすね。
だっておまえ、臭っせェもん。」
暴言デスネ。
ソーデスネ。
激しい羞恥と怒りで、男の顔が赤黒く染まる。
男はクララを押し退け、大股でソージに迫り…
「キサマ…
…
ん? こりゃ…」
急に声のトーンを変え、さっきクララにしたのと同じように、ソージの顎を掴んで軽く持ち上げた。
「随分キレーな顔した男じゃねーか…」
男は笑う。
怒りの表情が嘘だったかのように、ニヤニヤと。
「肌も髪も、女みてーだ。
おまえ男娼だろ。
一晩買ってやってもイイぜ。」
ソージも笑う。
虫も殺せない乙女のように。
「おまえはバカだろ。
さっきの話、聞いてた?
ジェットゲロ食らいたいの?
それとも…」