花の名は、ダリア
あぁ…
気が抜ける。
なけなしの力も抜ける。
「…
色々と間違ってますよ。」
虚脱状態で縁側にへたり込んだソージは、それでも女を凝視したまま呟いた。
「唐草模様は、忍者じゃなくて泥棒です。
後、『にんにん』言うのはハットリ君だけですよ。」
「そうなの?
勉強したのになぁ…」
にわか忍者が、色のない唇を不服そうに尖らせる。
てか、勉強て。
忍者ナメんな。
勉強じゃなく、修行しろ。
全く、ワケがワカラナイ。
この世のものとは思えないほど、美しく儚げで。
なのに、泥棒スタイルのにわか忍者で。
いったいこの女はなんだというのだろう。
全く、本当にワケがワカラナイ。
だが、ハッキリとわかっているコトもある。
この病気を感染してはならないというコト。
早急に、彼女を追い返さなければならないというコト…
「水…
使って、早く帰って下さい。」
ソージはヒビ割れた唇から掠れた声を絞り出した。