花の名は、ダリア
フォールディングナイフだ。
クララは再び愕然とした。
瞬きすら忘れて固まるクララに、アランが近づく。
熱に浮かされたような足取りで。
熱に浮かされたような戯れ言を吐きながら。
「おまえは売女だ。
その色香と肢体で男を虜にする、売女だ。」
はぁ?
暴言か?微妙に褒め言葉か?
まずソコをハッキリしろ。
「そんな女は娼婦も同然。
男を堕落させる諸悪の根源。
罰せられるべき存在だ。」
はぁぁぁ??
ヒドい偏見だな、おい。
謝れ。
世界中の女子に、五体投地で謝れ。
「だから俺が粛清してやる。
抱いて、罪を清めてやる。
快楽に涙しながら、天に召されるがいい。」
「結局ヤりたいだけじゃないの!」
堪えきれなくなったクララが口汚く罵るのと同時に、アランが覆い被さってきた。
喉にピタリとナイフを宛がわれ、抵抗を封じられる。
「叫ぶな、動くな。
鍵を閉めたから、誰も助けに来ない。
あの鬱陶しい東洋人もとっくに帰ったしな。」
ニヤリと笑ってそう言ってから、アランはクララの襟元に手をかけた。