花の名は、ダリア

フォールディングナイフだ。

クララは再び愕然とした。

瞬きすら忘れて固まるクララに、アランが近づく。

熱に浮かされたような足取りで。
熱に浮かされたような戯れ言を吐きながら。


「おまえは売女だ。
その色香と肢体で男を虜にする、売女だ。」


はぁ?

暴言か?微妙に褒め言葉か?
まずソコをハッキリしろ。


「そんな女は娼婦も同然。
男を堕落させる諸悪の根源。
罰せられるべき存在だ。」


はぁぁぁ??

ヒドい偏見だな、おい。

謝れ。
世界中の女子に、五体投地で謝れ。


「だから俺が粛清してやる。
抱いて、罪を清めてやる。
快楽に涙しながら、天に召されるがいい。」


「結局ヤりたいだけじゃないの!」


堪えきれなくなったクララが口汚く罵るのと同時に、アランが覆い被さってきた。

喉にピタリとナイフを宛がわれ、抵抗を封じられる。


「叫ぶな、動くな。
鍵を閉めたから、誰も助けに来ない。
あの鬱陶しい東洋人もとっくに帰ったしな。」


ニヤリと笑ってそう言ってから、アランはクララの襟元に手をかけた。

< 150 / 501 >

この作品をシェア

pagetop