花の名は、ダリア
ナニイッテンノ?
てか…
『彼女』?
「目的は、ただのカモフラージュなの。
エキセントリックでセンセーショナルな事件が多発すれば、工場勤務の男が何人消えようと、誰も気にしないでしょ?」
ナニイッテンノ?
ナニイッテンノ?
まさか…
「それに、錆びて刃こぼれしたナイフなんかで臓器の摘出はできないわ。
彼女が使っているのはね…」
(まさか… この女が…)
アランが血走った目を皿のように見開き、身震いする。
押さえつける手の力が緩んだその瞬間…
クララは剥き出しになったコルセットの奥の、胸の谷間に潜ませてあった銀色に光るナニカをアランの喉に突き立てた。
「メスよ。」
そうだ。
ナニカとは、医療用のメスだ。
彼女こそが本物の、『イーストエンドの切り裂き魔』。
「カ… ガァァ…」
アランは言葉にならない呻き声を漏らしながら、刺さったままのメスに震える手を伸ばした。
抜かなければ。
そして、逃げなければ。