花の名は、ダリア
唇には笑みが浮かんでいるのに、目が少しも笑っていない。
クララを見つめていたアランの目よりもさらにイっちゃってる、その瞳の光。
もう完全に狂ってる。
狂った女はポロポロと涙を流すアランを見下ろして、誘うようにはだけた胸に片手を当てた。
「ほら…私を抱きたいでしょ?
私が好きでしょ?
ケビンもダグラスも、他の男たちも。
みんなみんな、そうだった。」
そうだね。
やっぱり、そうだった。
工場を去っていったヤツらは、みんなこの女に殺されてたンだ。
「だからみんな、悦んでたわ。
悦んで、大好きな私が愛する人の、糧になったの。
アランさんも嬉しいでしょ?」
それも、ただ殺されるだけじゃない。
想像もできないナニカの糧になって死ぬ。
「さぁ、立って。
いきましょう…」
『いく』って『逝く』だろ。
確 実 に!
あぁ…
助けて。
誰か助けて。
バカなコトするンじゃなかった。
殺人鬼の真似事なんかで、女を支配しようなんて考えるンじゃなかった。
ゴメンナサイ。
自首シマス。
だから助けて。
か──み──さ──ま───!!