花の名は、ダリア

何度も何度も問い掛けた。

けれど、誰も答えてくれなかった。

もしも。
もしも答えてくれる者がいるとすれば。

それは…


「神よ…
どうか僕を殺してくれないか。
そして、クララに自由を与えてやってくれないか。」


低く呟いたフランシスは、ユラリと安楽椅子から立ち上がった。

それから深く頭を垂れながら、ダリアの足元に跪こうとして…


「やめてよ。
私は神じゃないわ。」


不意に肩を掴まれ、安楽椅子に押し戻された。

フランシスは濁った目を瞬かせ、掴まれた肩を見る。
そして、肩を掴むダリアを見る。

いやいや…

なんか、ヒョイと自然に座らされちゃったケド、大概な力じゃねーか?コレ。

フツーの人間…じゃ、ないよネ?
でも自己申告によると、神でもないンだよネ?

じゃ、いったいナンナンダ?


「私はアナタを騙したペテン師と同じ悪魔で、アナタと同じバケモノよ。」


自称『悪魔でバケモノ』は、また笑った。

神の如く慈愛に満ちて。


「だから、アナタを殺してあげる。」

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