花の名は、ダリア

愛情表現は人それぞれ。
それ故、愛し合っていても、すれ違ってしまうこともある。

フランシスの愛は、クララの望む愛ではなかった。

どんなに深く大きくとも、フランシスの愛はクララには届かなかった。

そうなると、彼女がするコトは一つだけ。


「よくもフランシスを殺したわね!
やっと私だけの彼になったのに!
よくも… よくも殺したわね!!」


クララはさっき手放したウェブリー・リボルバーのグリップを、再び掴んだ。

銃口が向けられる先は、わかりきっている。


「絶対に許さない!!
殺してやる!!!」


あああああぁぁぁぁぁ!
もぉぉぉぉぉうぅぅぅぅぅ!

こーなンじゃねーかと思ってたよ!

クララに初めて会った時。
彼女の身体から、染みついて離れない大勢の人間の血の匂いが香った時。

もし彼女が『穢れし者』を飼っているのなら、最終的にこーゆー結末が待ってンじゃねーかと思ってたよ!

だって、人間を喰らうバケモノを飼うなんて、よっぽどだろ。
匿い、守り、自らの手を汚してまで餌を与えるなんて、よっぽどだろ。

よっぽど大事ってことだろ?

その大事なバケモノを、誰かに殺されたら。

クララが復讐の鬼と化すのは、必然だったンだ。

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