花の名は、ダリア
だから、ダリアが気づいていない様子なのをコレ幸いと、一人で始末するつもりだったのに。
ダリアには蚊帳の外でいてほしかったのに。
願いは空しく…
ガァン
ガァン…
凶弾はダリアを目指す。
疾風の如く移動したソージは、微動だにしない彼女を背に庇って身構えた。
折れてしまわないよう角度を調節したステッキで、衝撃を逃しつつ銃弾を弾く。
一発、そして二発。
さっきリビングで三発ブっ放してたから、ウェブリー・リボルバーの装填数から考えて、残りは一発。
ガァン‥‥‥
その最後の一発を、ソージは難なく片手で掴み取った。
「クソが。」
苦く呟いたソージが、ステッキの持ち手部分をカチリと捻り、その下をスライドさせて抜き放つ。
現れたのは、鈍い銀光を纏った刃。
西洋のソードケインによくある、突き専門のレイピアタイプではない。
反りは少ないものの、ソレはまさしく日本刀。
ソージは左手に鞘を握ったまま、彼が最も慣れ親しんだ得物をクララに突き付けた。
「それ以上やるなら、俺も許さねェぞ。
おまえを殺す。」